エニアグラム(Enneagram)は、人間の性格を9つの異なるタイプに分類し、それぞれのタイプの特徴や動機を理解するための心理学的なモデルです。この理論は、個々のタイプがどのように思考し、感じ、行動するかを解明し、人々の自己理解や人間関係の改善に役立ちます。しかし、エニアグラムがどのようにして生まれたのか、その起源については多くの誤解や議論が存在します。本記事では、エニアグラムの歴史と、それを発展させた人物たちについて詳しく掘り下げていきます。
エニアグラムという名前自体は、ギリシャ語の「ennea」(9)と「gramma」(図形)から来ており、「9つの図形」という意味を持っています。エニアグラムは、基本的に「9つの性格タイプ」を示すために使われる図形であり、この図形が示すのは9つのタイプとその相互作用です。
エニアグラムの概念自体は、古代の哲学や宗教的な伝統にまで遡ることができます。そのため、エニアグラムは特定の人物によって一度に創られたものではなく、歴史的な背景に基づいて発展してきました。
エニアグラムのルーツは、古代の神秘的な教えや宗教に関連しています。以下はその主要な歴史的背景です。
1. 古代の神秘思想
エニアグラムの基本的な図形は、古代の神秘思想に関係があると言われています。特に、ギリシャの哲学者ピタゴラスの教えや、エジプトの神秘主義、さらには中世のスーフィズムにおける「霊的成長」を扱った教えと関連があります。これらの教えでは、人間の内面の探求や、個々の成長の過程を示すためにシンボルや図形が用いられていました。
2. スーフィズム
エニアグラムの初期の概念は、スーフィズム(イスラム神秘主義)にも見られます。スーフィーの修行者たちは、内面的な成長や神への近づきを目指して、自己理解を深める方法としてエニアグラムの考え方を取り入れていたとされています。この時期には、エニアグラムの「タイプ分類」ではなく、もっと霊的な側面に焦点が当てられていました。
3. 20世紀初頭:現代的な発展
エニアグラムが現代の心理学や自己啓発において広まったのは、20世紀に入ってからです。現代のエニアグラムの枠組みが確立されたのは、主に以下の人物たちによる貢献によります。
1. オスカー・イチャゾ(Oscar Ichazo)
エニアグラムの現代的な形を作り上げた人物の1人は、チリ出身の心理学者オスカー・イチャゾです。イチャゾは、1960年代にエニアグラムを体系的な理論として発展させました。彼は、スーフィズムや他の神秘的な伝統から影響を受けつつ、エニアグラムを「人間の性格に関する心理学的な分類システム」として構築しました。
イチャゾは、9つの基本的なタイプと、それぞれのタイプに関連する「基盤となる動機(恐れや欲望)」を特定しました。彼は、これらのタイプがどのように個人の行動や感情に影響を与えるかを深く探求しました。
2. クラウディオ・ナランホ(Claudio Naranjo)
オスカー・イチャゾの弟子であったクラウディオ・ナランホ(チリ出身)は、エニアグラムをさらに発展させ、西洋心理学と統合することに貢献しました。ナランホは、エニアグラムの理論をさらに実用的なものにし、各タイプの性格を心理学的に分析しました。また、彼はエニアグラムを「診断ツール」として使用する方法を開発し、これをカウンセリングや治療の現場で活用するようになりました。
ナランホの貢献により、エニアグラムは心理学的な分析だけでなく、個人の成長やカウンセリングにも役立つツールとして広まりました。
3. 近年の普及
1970年代後半から1980年代にかけて、エニアグラムは西洋の自己啓発運動の一環として人気を集め、現在ではビジネスや教育、カウンセリングなど様々な分野で利用されています。多くの著名な著者や専門家がエニアグラムを紹介し、その実践的な側面を強調しています。
エニアグラムは、古代から現代までの様々な文化的・宗教的背景を持ち、その理論は多くの心理学者や実践者によって発展してきました。最も重要な貢献者として、オスカー・イチャゾとクラウディオ・ナランホが挙げられます。彼らの理論は、現代のエニアグラム理論の基礎となり、今日では多くの分野で活用されています。エニアグラムは、単なる性格診断ツールにとどまらず、自己理解を深め、人間関係を向上させるための強力な手段となっています。
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